ニンニクは、ネギ科(クロンキスト体系以前の分類法ではユリ科)の多年草で、球根(鱗茎)を香辛料として用いられ、ガーリックとも呼ばれます。
日本では、ニンニクやノビル(野蒜)など根茎を食用とする臭いの強い(ネギ属の)植物を総称して蒜(ひる)と呼んでいましたが、特にノビルと区別する場合には、オオヒル(大蒜)とも言われていました。
生薬名は、大蒜(たいさん)と言われ、語源は、困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語の「忍辱」とされています。
5月頃に白い小さな花を咲かせますが、栽培時には鱗茎を太らせるために花芽は摘み取ります。
摘み取った茎は、柔らかい物であれば野菜として利用されます。
一般的に見かけるニンニクは、分球ニンニクがほとんどですが、一片種と呼ばれる中国のプチニンニクなどの品種もあります。
ジャンボニンニクと呼ばれる物がありますが、大きいこと以外、外見はニンニクそのものですが、ニンニクとは別種でありリーキ(ポロネギ)に近縁の野菜となり、ニンニクよりも香りがマイルドなのでスープの具などに利用されます。
判別基準としては、鱗茎の他に硬い殻に覆われた小さな球根(ヒヨコの頭に良く似ている)によって、繁殖する点で、ニンニクと区別されます。
ニンニクの原産地は、中央アジアと推定されますが、すでに紀元前3200年頃には、古代エジプトなどで栽培・利用されていたとされます。
また、現存する最古の医学書『エーベルス・パピルス』には、薬としても記載されています。
中国には、紀元前140年頃伝わり、日本には中国を経て8世紀頃には伝わっていたと見られます。
日本では、禅宗で「不許葷酒入山門」とされたように、強壮作用が煩悩(淫欲)を増長するとされて、仏教の僧侶の間ではニラ、ネギ等とともに五辛の1つとして食が禁じられていました。
漢字表記の「蒜」「大蒜」は、漢語に由来する一方で、仏教用語の「忍辱(にんにく)」がニンニクの語源となったと言われています。
『大和本草』巻之五 草之一 菜蔬類では、「悪臭甚だしくとも 効能が多いので 人家に欠くべからざるもの」と、評価されています。
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